実は私も、自分が藍染をするまでは、藍染って聞くとお肌に良いものだと、無条件で思ってました。
微生物の働きが自然の作用で紫外線を弾いてくれ、防臭効果や防虫効果、抗菌作用があり、すっごい効能だなぁと思ってたのです。
そして久留米絣や弓浜絣などの絣に、憧れていました。
ところが……
世の中に出回っている藍染の95%は、そんな作用はなかったと言う事実を知る事になります。
呉服店でありながら、工房を持つ、布を作ることに贅沢が許される着物づくり。藍で染め、植物から色をもらって草木染めをする、そんな贅沢な反物を作っている工房兼店で働きました。
そこでは藍の葉っぱを100日かけて発酵させた蒅に、合成藍も混ぜて、練り込みます。
藍そのものでは、色素が水に溶け出さないので繊維に付着することができません。
そこで藍建てを行います。
強アルカリ性にして、瓶の中を無酸素状態にしてしますと色素が液に溶けだし、藍染が可能になります。
その藍建てに、カセイソーダとハイドロサルファイトという化学薬品を入れると、一気に藍建てが完了です。そうすることで商業用の藍甕が完成です。
これでいつお客様が来店されてもら藍染め体験が可能になり、学校事業でも、藍染をしていただけます。
結局、化学式は同じですから、藍染に変わりはありません。
ですが、藍染本来が持つ効能は、なくなります。その後、経年変化による美しさも変わってきます。
陽やけによるトラブルや、アクによる黄ばみなど、後々面倒なことになるのだなぁという事を経験しました。
それで、そういった化学薬品を使わない、自然界にあるものだけで藍建てを行い、藍染をする、草木染めをする、そんなことを今、実現しています。